はじめに
レポートを作成する際に生成AIを使うことができます。
このページでは、教育学の講義でレポートを書く大学生を例に、レポート作成時に生成AIを活用してフィードバックをもらう方法を紹介します。
この例で用いるモデルは、ChatGPT-4o miniです。
実際のやり取り
レポートの条件は、「これまでの教育を振り返って、課題だと感じる点を挙げて、それを解決できるような新しいツール・サービスを提案してください。字数は1000文字程度で書いてください」です。
プロンプト
まずは自力でレポートを執筆しました。これを以下のように入力してフィードバックをもらいます。
次の課題に対し、以下のレポートを執筆しました。 このレポートの良いところ、改善できるところ、欠けている視点を教えてください。【課題】
これまでの教育を振り返って、課題だと感じる点を挙げて、それを解決できるような新しいツール・サービスを提案してください。字数は1000文字程度で書いてください
【レポート案】
これまでの教育経験を振り返る中で、いくつかの課題を感じている。以下に三つ課題と、それを解決するための新しいツールやサービスの提案を述べる。 まず始めに、個別指導の不足だ。多くの教育システムでは、クラスの規模が大きく、教師が一人ひとりの生徒に十分な時間を割くことが難しい。その結果、学習の進度や理解度に個人差が生じ、特定の生徒が取り残されることがある。 そこで、AIを活用した個別学習プラットフォームを導入することで、生徒一人ひとりの学習進度や理解度に応じたカスタマイズされた学習プランを提供できる。例えば、AIが生徒の解答データを分析し、苦手な分野を特定してその分野に重点を置いた問題を出題することができる。また、リアルタイムでのフィードバックを提供することで、生徒が自分のペースで学習を進めることができる。 第二の課題として、モチベーションの低下がある。生徒の学習意欲が低下することは、教育の質を低下させる大きな要因だ。 そこで、ゲーミフィケーションを取り入れた学習アプリを導入することで、生徒の学習意欲を高めることができる。例えば、学習の進捗に応じてポイントやバッジを獲得できる仕組みを導入することで、生徒は達成感を感じやすくなる。また、他の生徒と競い合う要素を取り入れることで、学習に対するモチベーションを維持することができる。 三点目に、教師は多くの業務を抱えており、授業準備や評価、事務作業などに多くの時間を費やしているという課題がある。その結果、生徒とのコミュニケーションや個別指導に十分な時間を割くことが難しくなっている。 この課題に対し、教師支援ツールを導入することで教師の業務負担を軽減し、生徒とのコミュニケーションや個別指導に集中できる環境を整えることができる。例えば、授業の準備や評価を自動化するツールや、事務作業を効率化するシステムを導入することで、教師はより多くの時間を生徒に割くことができる。 以上のように、教育の課題を解決するためには、テクノロジーを活用した新しいツールやサービスの導入が有効だ。これにより、生徒一人ひとりの学習ニーズに応じた教育を提供し、実践的なスキルの習得や学習意欲の向上を図ることができる。また、教師の負担を軽減することで、より質の高い教育を実現することが期待される。
レポートでは、個別指導の不足、モチベーションの低下、教師の負担の三つの課題を取り上げ、それぞれについてテクノロジーを活用する解決策を提案しました。返ってきた出力がこちらです。
出力
良い点
- 問題の明確な提示: 教育の三つの主要な課題(個別指導の不足、学習意欲の低下、教師の負担)をしっかりと特定し、それぞれに対する具体的な解決策を提案している点が素晴らしいです。
- テクノロジーの活用: AIやゲーミフィケーションなど、現代的な技術を導入する提案は、新しい視点を持っていて、解決策として説得力があります。
- 論理的な構成: 各課題に対する解決策が段階的に述べられており、分かりやすい構成になっています。
改善できる点
- 具体例の深掘り: AIを使った個別学習プラットフォームや、ゲーミフィケーションを用いた学習アプリの具体的な仕組みを、もう少し詳しく説明すると良いです。たとえば、どのようなAIアルゴリズムが有効なのか、ゲーム的な要素が生徒にどう影響するのかを具体的に述べると、読者の理解が深まります。
- 実現可能性への言及: テクノロジーを活用した解決策は魅力的ですが、その導入コストや教師のトレーニング、インフラ整備の必要性についても言及すると、より現実的な提案となります。特にAI導入には予算や教育現場での技術サポートが必要です。
- 課題の連関性の強調: それぞれの課題を個別に述べていますが、これらの課題が相互に関連している点を強調すると、より包括的な視点での解決策が見えてきます。たとえば、教師の負担が軽減されることで個別指導の不足が解消され、同時に学習意欲の向上にもつながるといった連鎖効果を述べると良いでしょう。
欠けている視点
- 公平性やアクセスの問題: 新しいテクノロジーの導入は、インフラ整備が進んでいる地域や学校に限られたものになる可能性があります。インターネットアクセスが不十分な地域や、テクノロジーに疎い教師や生徒に対するサポート策についても検討が必要です。
- 教育以外の要素の考慮: 教育の質を向上させるためには、家庭環境や社会的要因も大きな影響を与えます。例えば、家庭でのサポートや社会全体での教育支援の在り方についても触れることで、より包括的な提案になるでしょう。
- 多様な学習スタイルの配慮: ゲーミフィケーションやAIを使ったツールが全ての生徒に効果的であるとは限りません。異なる学習スタイルやニーズに対応するための柔軟なアプローチも検討する必要があります。
これらの視点を取り入れることで、提案がより実現性のあるものとなり、多様な状況に対応できる包括的なレポートになるでしょう。
使った感想
自分が問題意識を持つ教育の課題を中心にレポートを書きましたが、まとまりがなく、それぞれの内容も薄い気がしていました。そんな中、生成AIの出力【改善できる点 3】で提案された課題の関連性を強調する構成で書くと、上手くまとまったレポートになりそうです。
また、【欠けている点 2】の教育以外の要素の考慮は、思いつきませんでした。確かに、レポートの要件には教育現場だけで考えること、という指定はありません。この新しい視点もあわせて考えてみようと思います。
生成AIからのフィードバックを活かして、条件に合った、より厚みのある内容のレポートが書くためのヒントを得ることができました。
今回初めてレポート作成に生成AIを使用してみて、フィードバックを得るという活用方法はとても有意義だと感じました。レポートを提出前にクラウド上に全文入力するのは、生成AIチェッカーや剽窃チェッカーに引っかかる種を作っているのではないかと不安だったのですが、データ学習設定をオフにすれば安心して使えそうです。
注意点
この記事では「レポートの良いところ、改善できるところ、欠けている視点」の3点についてフィードバックをもらいましたが、評価基準があるとより目的に沿ったフィードバックがもらえると考えられます。
また、生成AIが出力する情報は信頼できないことがあります。そのため出力された内容については、あくまでも視点を得る目的で利用することが重要です。
その後の執筆にあたっては、参考文献として利用できるような、信用できる情報元を見つけるようにしましょう。