本ページではよくある質問と私なりの回答を掲載します。 生成AI関連の情報更新が非常に早いため、古くなっている情報がある場合は、右下のフィードバックフォームからご指摘いただければ幸いです。 できるだけ客観的な情報をもとに回答することを心がけていますが、私見も含まれることご了承ください。
目次
- 目次
- 生成AIの基礎知識・能力
- 生成AIが得意な分野は何ですか?
- 同じ質問をしても答えが異なるのはなぜですか?
- 生成AIの利用方法
- 途中で回答が止まってしまうのですが、どうすればよいですか?
- 生成AIのおすすめな使い方はありますか?
- プロンプトのコツを教えてくれませんか?
- 有料版を使ったほうが良いでしょうか?
- 教育における利用
- 生成AIが作った文章かどうか、見分けることは可能でしょうか?
- 感想文や簡単な作文をAIが書く可能性がありますが、それを回避させるにはどうすればよいですか?
- 生成AIを用いることによって、生徒の創造性がなくなるのではないでしょうか?
- 保護者の同意をどのようにクリアすればよいでしょうか?
- 生徒に生成AIを利用させるにあたって想定される懸念点は何でしょうか?
- 生成AIの倫理・リスク
- ハルシネーションにどう対応するべきでしょうか?
- 専門外のハルシネーションを見分ける方法はないですか?
- 人間が考える必要ないと思う人も出てくるのではないでしょうか?
生成AIの基礎知識・能力
生成AIが得意な分野は何ですか?
テキスト生成AIが一般的に得意な分野は以下のものが挙げられます。
- 文章作成: 記事、ブログ投稿、物語、小説などの文章を自動で生成できます。
- 言語翻訳: 文脈をふまえた翻訳を行うことができます。
- 要約: 長文を要約することができます。
- コード生成: プログラミングコードの生成を行うことができます。
ただし、分野やモデルなどによって性能が異なること、モデルの進化が早いことから、実際に各自の分野でどの程度使えるかを検証したうえで利用していただくことがおすすめです。
同じ質問をしても答えが異なるのはなぜですか?
テキスト生成AIは、回答にランダム性を与える「温度(Temperature)」と呼ばれるパラメータを持っています。これは、AIによる文章生成に多様性を持たせるために設定されることが多いです。
その値を0に設定すると、ほぼ同じ答えが返ってくる*のですが、一般的な生成AIサービスでは、このパラメータが0より大きく設定されているため、同じ質問をしても異なる答えが返ってきていると推察されます。
例えば、ChatGPTであればアカウントが必要で、無料分を超えると利用料が発生しますが、 https://platform.openai.com/playground/ にて、温度パラメータを変えて出力を得ることが可能です。
*: 正確には0に設定しても計算方法の影響から同じ答えが返ってこない場合もあります。
生成AIの利用方法
途中で回答が止まってしまうのですが、どうすればよいですか?
回答が途中で止まってしまった場合は、「そのまま出力を続けて」や「continue」などと入力することで、続きを出力させることができます。
生成AIのおすすめな使い方はありますか?
生成AIは、文章作成、翻訳、要約、アイデア出し、プログラミングなど、様々な用途に活用できます。教育に関連した使い方としては例えば、以下のようなものがあげられます。
- 教員が使う
- 授業づくりで使う例
- 教材を作成してもらう
- ある英文に関する単語リストの作成
- あるトピックに関する対話文
- 問題を作成してもらう
- 選択式の問題文と選択肢、解説を作ってもらう
- レポート課題の案を作ってもらう
- 授業案を作ってもらう
- 校務・事務作業で使う例
- 英語のメールを作成してもらう
- 保護者への案内文案を作ってもらう
- 研究で使う例
- 論文や研究申請書の査読者としてフィードバックをもらう
- 研究のアイデアに対するフィードバックをもらう
- 英文校正を行ってもらう
- 学習者が使う
- 個人の学習で使う例
- 自分専用の教材を作ってもらう(例: 苦手な英単語が入った英文作成)
- 個別に問題を作成してもらう(例: プログラミングの課題を自動生成)
- 自分が作ったレポートにフィードバックしてもらう
- わかりにくい概念を身近な例で例えてもらう
- グループでの学習で使う例
- グループでまとめた意見に対して、足りない視点や改善できるところをフィードバックしてもらう
- グループで出てきた意見を、まとめてもらい参考とする
- 部活動やサークルなど課外活動で使う例
- 部活動の活動に役立てる
- サッカー部の練習メニューを考えてもらう
- 自習のためにルールに関する問題を作成してもらう
- 学園祭の活動に役立てる
- 学園祭の広報文を作ってもらう
- 学園祭の企画アイデアを出してもらう
プロンプトのコツを教えてくれませんか?
生成AIへの指示であるプロンプトは、具体的で明確な指示を出すことが重要です。曖昧な指示や抽象的な指示では、期待通りの出力が得られない可能性があります。 例えば、プロンプトに以下の要素を含めると、より精度の高い出力が期待できます。
- 文脈: どのような状況で、どのような目的で出力が必要なのか
- タスク: 具体的に何をしてほしいのか
- データ: 参考となる情報やデータ
- 出力形式: 回答をどのような形式で出力してほしいのか
詳しくは、 をご覧ください。
有料版を使ったほうが良いでしょうか?
無料版と有料版のどちらが良いかは、利用頻度や必要な機能によって異なります。 有料版は、無料版よりも高性能なモデルや機能を利用できることがある、利用制限が少ないなどのメリットがあります。
ただし、無料版でも有料版の機能を一部使えるように企業側が努力していることもあるため、うまく無料版を使うことで、有料レベルのモデルやサービスを利用することができます。
代表的な例では、Google AI Studio にて、無料で最新モデルを利用することができます(ただし、データは学習される設定になっているため、その点ご注意ください)。詳しくは「Gemini」の記事をご覧ください。
また、無料版のモデルやサービスの性能も年々向上しているため、無理に有料版を利用しなくてもよいのではないかと個人的には考えています。
教育における利用
生成AIが作った文章かどうか、見分けることは可能でしょうか?
現時点では、生成AIが作成した文章を確実に検出する方法は確立されていません。 検出ツールは存在しますが、誤検出も多く、完全に信頼できるものではありません。 そのため、生徒の提出物に関しては、生成AIの使用を疑う場合は、内容について深く掘り下げた質問をする、他の課題との整合性を確認する、などの方法で総合的に判断する必要があるでしょう
また、生成AIが作った文章は見分けられないという前提で授業設計、教育設計していただくのが建設的かと私個人としては考えています。
感想文や簡単な作文をAIが書く可能性がありますが、それを回避させるにはどうすればよいですか?
生成AIによる課題作成の回避策としては、以下のような方法が考えられます。
- 授業内で課題に取り組ませる: 対面で、インターネット接続を制限した環境で課題に取り組ませることで、AIの使用を抑制できます。
- 個人の経験や思考を重視した課題にする: 個人的な経験や思考を問う課題は、AIが生成しにくい内容となるため、生徒自身の思考力を評価できる可能性が高いです。
- プロセスを評価対象に含める: 課題に取り組むプロセスを評価対象に含めることで、AIで生成した最終成果物だけでなく、思考過程や努力を評価できます。
重要なことは自動生成されにくい成果物を対象とする課題の出し方にするという点です。
生成AIを用いることによって、生徒の創造性がなくなるのではないでしょうか?
生成AIは創造性を阻害するものではなく、創造性を支援するツールとして捉えることができます。生成AIを活用することで、生徒はより多くのアイデアを生み出し、より高度な作品を創作することができるようになる可能性があります。 重要なのは、AIに頼り切るのではなく、AIをツールとして活用し、自身の思考力や創造性を育むことです。
2024年7月25日に文部科学省が公開した「初等中等教育段階における生成AIに関するこれまでの取組み」(https://www.mext.go.jp/content/20240725-mxt_jogai01-000037149_21.pdf)の中に記載されているアンケートでは、パイロット的に使った教員のアンケート結果が載っています。生成AIを活用することで「学習意欲が低下した」「創造性が低下した」と答えた教員はほとんどいませんでした。
(出典: https://www.mext.go.jp/content/20240725-mxt_jogai01-000037149_21.pdf)
生成AIも結局ツールであるため、授業設計、課題設計が重要になると私は考えています。
保護者の同意をどのようにクリアすればよいでしょうか?
多くの生成AIサービスにおける未成年の利用に関しては、保護者の同意が必須となります。 学校として、生成AIの利用に関する方針を策定し、保護者説明会などを開催して、利用目的、利用方法、メリット・デメリット、個人情報保護の取り組みなどを説明する方法が考えられます。 また、利用に関する同意書を配布し、保護者から同意を得ることが重要です。その際、異議がある場合は申し出る方式(オプトアウト)にすることで、スムーズな導入ができる可能性があります。
生徒に生成AIを利用させるにあたって想定される懸念点は何でしょうか?
生徒に生成AIを利用させるにあたっては、以下のような懸念点が想定されます。
- 出力が不正確な場合がある
- プロンプトによって結果が異なる
- 分野やモデル・サービスによって性能が異なる
- 基本的に利用に年齢制限がある
- バイアス・毒性が存在する
- 言語格差が存在する
- データが学習される可能性がある
- 個人情報の捏造、流出の可能性がある
- 機密情報の流出の可能性がある
- 著作権を侵害する可能性がある
詳しくは「まずはここから」の各ページ(、 、 保護者向け まずはここから )に記載していますので、そちらをご覧ください。
生成AIの倫理・リスク
ハルシネーションにどう対応するべきでしょうか?
ハルシネーション(幻覚: AIが事実とは異なる内容を生成すること)は、生成AIの大きな課題の一つです。 これに対応するために、以下の対策が重要になります。
- 情報源の確認: 生成AIが示した情報は、必ずしも正確とは限りません。一次情報や信頼できる情報源を参照し、情報の真偽を確かめることが重要です。
- 批判的思考: 生成AIの出力に対して、常に「本当にそうなのか?」と疑う姿勢を持つことが重要です。
- 専門知識: 各分野の専門知識を持つことで、AIの出力の妥当性を判断することができます。
- 外部データベースの活用: RAG(Retrieval-Augmented Generation)と呼ばれる外部データベースを利用する方法も検討され始めており、外部データベースと生成AIを連携させるとハルシネーションが抑えられるとも言われています。ただし、カスタマイズされたシステムが必要ですし、必ずなくなるわけではないため、注意が必要です。
専門外のハルシネーションを見分ける方法はないですか?
専門外の分野においてハルシネーションを見分けることは困難です。 ただし、以下の点に注意することで、ある程度の判断をすることができると考えています。
- 情報源の明記: 信頼できる情報源を明記しているかどうかを確認しましょう。情報源が不明瞭な場合は、その情報に疑いを持つ必要があります。
- 論理の整合性: 文章全体に矛盾や飛躍がないかを確認しましょう。論理的に破綻している場合は、ハルシネーションの可能性があります。
- 情報の最新性: 情報が最新のものであるかを確認しましょう。古い情報や最新情報に更新されていない情報は、誤っている可能性があります。
- 複数の情報源との比較: 同じ情報について、複数の情報源を比較検討してみましょう。情報源によって異なる情報が提示されている場合は、注意が必要です。
人間が考える必要ないと思う人も出てくるのではないでしょうか?
生成AIの進化により、人間が考える必要がないと感じる人が出てくる可能性は否定できません。 しかし、AIはあくまでツールであり、AIを活用するのも、AIの出力結果を判断するのも、最終的には人間です。 AIに依存するのではなく、AIをツールとして活用しながら、人間自身の思考力や創造性を高めていくことが重要だと私は考えています。
他の Q&A にも記載していますが、2024年7月25日に文部科学省が公開した「初等中等教育段階における生成AIに関するこれまでの取組み」(https://www.mext.go.jp/content/20240725-mxt_jogai01-000037149_21.pdf)の中に記載されているアンケートでは、パイロット的に使った教員のアンケート結果が載っています。生成AIを活用することで「学習意欲が低下した」「創造性が低下した」と答えた教員はほとんどいませんでした。
(出典: https://www.mext.go.jp/content/20240725-mxt_jogai01-000037149_21.pdf)
生成AIも結局ツールであるため、授業設計、課題設計が重要になると私は考えています。