本記事は、2026年06月26日に行われたオンラインイベント「生成AIに関する最新情報の提供」にて紹介された最新情報をもとに、生成AIを活用して記事を作成しています。
オンラインイベントの詳細: https://edulab.t.u-tokyo.ac.jp/2026-06-26-event-report/
米国は安全確認を強化
2026年6月2日、米国で「Promoting Advanced Artificial Intelligence Innovation and Security」という大統領令が出されました。大きなねらいは、AIの開発を止めるのではなく、社会の安全を守りながら発展させることです。特に重視されているのは、政府や民間の情報システムをAIで強くすることと、非常に高性能なAIが悪用されるリスクを小さくすることです。
注目したいのは、先端的なAIを公開する前に、開発会社が最大30日間、任意で政府にアクセスを提供できる仕組みです。これは、公開前に安全面を確認するための枠組みです。一方で、政府の許可がないとAIを公開できない制度や、強制的な事前承認制度は新たに作らないとされています。つまり、AIの開発競争を妨げすぎず、必要な安全確認を進めるというバランスを取ろうとしていると言えます。
背景には、AIの性能が急速に高まり、情報システムの弱点を探す力まで強くなっていることがあります。便利なAIは、文章作成や調査だけでなく、使い方によってはシステムの不具合を見つけたり、不正な操作に使われたりする可能性があります。教育現場では、すぐにこの水準のAIを使う場面は多くないかもしれません。しかし、生成AIは「便利だから使う」だけでなく、「安全に使える状態か」を確認する段階に入っています。学校や自治体でも、導入時には機能だけでなく、提供元の安全対策や運用ルールを見ていくことが重要になります。
企業AIは管理の時代へ
Microsoft Build 2026では、企業でAIを安全に使うための考え方が大きく示されました。これまでの生成AIは、チャット画面に質問を入力し、回答を受け取る使い方が中心でした。しかし、今回示された方向性では、AIは会話相手にとどまらず、仕事の流れや社内情報とつながりながら、実際の作業を助ける存在として位置づけられています。
ポイントは、AIを「個人が自由に使う道具」としてではなく、「組織として管理しながら使う仕組み」として整えようとしていることです。たとえば、Microsoft Scoutのような個人の作業を助けるAIや、Agent 365のようにAIの動きを見守る仕組みが紹介されています。さらに、Microsoft 365やTeams、社内の知識を扱う仕組みと結びつけることで、個人情報や機密情報を含む仕事でも、組織のルールに沿ってAIを使いやすくなります。
これは教育機関にも関係があります。学校でも、成績、学習状況、保護者対応、校務文書など、慎重に扱うべき情報が多くあります。AIが便利でも、誰がどの情報にアクセスできるのか、AIにどこまで任せるのか、出力を誰が確認するのかが曖昧なままでは使いにくくなります。今後は、単にAIサービスを導入するだけでなく、組織全体で管理できる環境を整えているかどうかが重要になります。AIを使う力と同じくらい、AIを安全に使わせる仕組みが大きな差になります。
参考リンク: https://blogs.microsoft.com/blog/2026/06/02/microsoft-build-2026-be-yourself-at-work/
参考リンク: https://news.microsoft.com/build-2026/
参考リンク: https://news.microsoft.com/build-2026-live-blog/microsoft-build-2026-live/
高性能AIに公開制限
Anthropicは2026年6月9日、Claude Fable 5とClaude Mythos 5を公開しました。6月12日、米政府は、国内外を問わず外国籍者による両モデルへのアクセスを停止する輸出管理命令を出しました。Anthropicは利用者の国籍を即時に確認できなかったため、いったん全利用者のアクセスを停止しました。
Anthropicは2026年6月9日、Claude Fable 5とClaude Mythos 5を公開しました。6月12日、米政府は、国内外を問わず外国籍者による両モデルへのアクセスを停止する輸出管理命令を出しました。Anthropicは利用者の国籍を即時に確認できなかったため、いったん全利用者のアクセスを停止しました。
教育分野では、このレベルのAIをすべての教員や生徒が使う必要はまだありません。現在一般に使えるAIでも、授業準備、教材作成、調査、文章の整理、翻訳、校務の効率化など、できることは十分にあります。ただし、今回の出来事は、AIの進歩が単に「もっと便利になる」という話だけではなく、「公開してよいのか」「誰に使わせてよいのか」という問題にもつながることを示しています。今後、学校でAIを選ぶ際にも、性能の高さだけを追うのではなく、安定して使えるか、安全に管理されているかを確認する視点が欠かせません。
参考リンク: https://www.anthropic.com/news/claude-fable-5-mythos-5
参考リンク: https://www.anthropic.com/news/fable-mythos-access
AI作成物を明示する動き
EUでは、AIで作られた画像、動画、音声、文章などを見分けやすくするためのルールづくりが進んでいます。2026年6月10日には、AI生成コンテンツの透明性に関するコードの最終版が公表されました。これは、AIで作られたものや加工されたものについて、利用者がそれと分かるようにするための実務的な基準です。EUのAI規制の適用に向けて、具体的な運用の形が整えられつつあります。
大きな考え方は、AIで作ったことを隠さないということです。たとえば、AIが作った画像や動画には、機械で読み取れる印を付けることが求められます。また、本物の人物や出来事のように見える偽の画像や動画については、利用者に分かる形で明示することが求められます。さらに、公共に向けて出される文章についても、人間による確認や編集がない場合は、そのことを示す必要があるとされています。
一方で、実現には課題もあります。画像や動画であっても、後から加工されれば印が消える可能性があります。文章だけの場合は、AIが作ったかどうかを確実に見分けることがさらに難しくなります。そのため、技術だけで完全に解決するのではなく、作成者や提供者がどのように説明するかも大切になります。教育現場では、提出物、教材、広報文、保護者向け文書などでAIを使う機会が増えます。AI利用を単に禁止するのではなく、どこでどのように使ったのかを示す文化を育てることが、信頼ある活用につながります。
参考リンク: https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/policies/code-practice-ai-generated-content
子どものネット安全対策
2026年6月17日、G7は未成年者のデジタル安全に関する首脳声明を公表しました。生成AIの広がりによって、子どもたちが触れる情報環境は大きく変化しています。AIを使ったなりすまし、合成画像、年齢に合わない情報、過度な利用を促す設計など、これまで以上に幅広いリスクが出てきています。今回の声明は、子どもを守るための取り組みを国際的に進める必要があることを示しています。
重要な考え方の一つは、安全を後から追加するのではなく、最初から組み込むことです。サービスを作る事業者には、安全、プライバシー、年齢に合った設計を初期設定に入れることが求められています。年齢確認や保護者の管理機能も重視されています。また、本物のコンテンツとAIで作られたコンテンツを区別しやすくするため、作られた経緯を記録する技術の実装も重要視されています。
もう一つの柱は、情報を見極める力を育てることです。AIが作った画像や文章は、一見すると本物らしく見えることがあります。子どもだけでなく、保護者や教員も、どの情報を信じるべきか、どのように確認すべきかを学び続ける必要があります。学校では、生成AIを遠ざけるだけでは十分ではありません。実際に社会で使われる技術である以上、安全な使い方、疑わしい情報への向き合い方、困ったときに相談する方法を教えることが大切です。生成AI時代のデジタル安全は、技術、家庭、学校、制度が一体で取り組むテーマになっています。
参考リンク: https://www.elysee.fr/en/G7evian/2026/06/17/leaders-call-on-a-safer-digital-space-for-minors
学習支援AIが標準機能へ
Microsoftは2026年6月24日、Microsoft 365 Education向けに複数のAI教育機能を発表しました。特徴的なのは、教育現場で使うことを前提に、教員向け、生徒向け、授業管理向けの機能がまとめて示されたことです。これまでAI教育ツールは、個別のサービスとして導入する印象が強くありました。しかし今後は、学校で普段使っている学習基盤の中に、教育向けAIが標準的に組み込まれていく可能性があります。
教員向けには、Unit Plansという機能があります。これは、1回分の授業案だけでなく、単元全体の流れを考えるための案を自動で作る機能です。概要から週ごとの詳細まで計画を作れるため、授業準備の負担を下げることが期待されます。また、Student AI Guidelinesでは、課題ごとに生徒がAIをどこまで使えるかを教員が設定できます。AIをまったく使わない課題から、幅広く使える課題まで、学習目的に合わせて調整できる点が重要です。
生徒向けには、Study and Learn Agentが紹介されています。これは答えをそのまま出すのではなく、問いかけやクイズを通して学びを支える仕組みです。つまり、宿題の答えを代わりに作るAIではなく、考えを深める相手として設計されています。教育現場では、AIを使わせるか使わせないかの二択ではなく、どの場面で、どの範囲で、どのように使うかを決める必要があります。大手の学習環境にこうした機能が入ることで、学校全体でのAI活用が現実的な選択肢になっていきます。
日本とOpenAIが安全協力
2026年5月29日、日本のAIセーフティ・インスティテュートとOpenAIが、AIの安全性評価に関する協力覚書を結びました。AIセーフティ・インスティテュートは、AIを安全に使うための評価や基準づくりを進める組織です。OpenAIは、ChatGPTなどの最先端AIを開発している企業です。両者が協力することで、AIの安全性をどのように測るか、どのようなリスクを事前に確認すべきかを国際的に検討しやすくなります。
特に重視されているのは、情報システムの安全に関する対話や、国際的な評価基準づくりです。高性能なAIは、教育や仕事を助ける一方で、使い方によっては情報システムへの攻撃や不正な操作に関わる可能性があります。そのため、便利さだけでなく、危険な使い方をどのように見つけ、どのように防ぐかが重要になります。国や企業が協力して評価の方法を整えることは、安心してAIを使う社会基盤づくりにつながります。
教育現場にすぐ直接影響する話ではないかもしれません。しかし、学校や自治体がAIサービスを選ぶときには、今後ますます「そのAIは安全性をどのように確認しているのか」が問われます。生成AIを授業や校務に使う場合、個人情報、学習履歴、提出物、相談内容など、慎重に扱うべき情報が含まれる可能性があります。日本国内でもAIの安全性評価に関する枠組みが整っていくことで、学校が安心して使えるサービスを見極めやすくなることが期待されます。
参考リンク: https://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/20260529ai.html
日本のAI計画が早くも更新
2026年6月19日、政府は次期「人工知能基本計画」の素案に関する意見募集を開始しました。初の基本計画が2025年12月に決まったばかりであるにもかかわらず、わずか半年ほどで次の計画づくりが進んでいます。これは、AIの進歩が非常に速く、国の方針も短い間隔で見直す必要があることを示しています。
素案では、分野ごとの課題に合わせたAIや、現実の機械や設備と結びつくAIの活用が重視されています。たとえば、医療、教育、製造、物流など、それぞれの現場に合ったAIを作り、社会で実際に使うことが重要だとされています。汎用的に何でもできるAIだけでなく、特定の仕事や分野に合わせたAIを育てる方向です。教育で言えば、授業づくり、学習支援、校務、特別な支援が必要な子どもへの対応など、現場の目的に合ったAIが求められます。
ただし、仕組みや基盤を整えるだけでは十分ではありません。どれほど良いAIが用意されても、使う人が目的を理解し、結果を確認し、適切に判断できなければ、十分な効果は出ません。教育では特に、教員や学習者がAIを使いこなすための支援が欠かせません。AIの導入を設備投資だけで終わらせるのではなく、人への投資とセットで進めることが大切です。基本計画の更新は、日本がAIをどのように社会へ広げようとしているのかを知る手がかりになります。
参考リンク: https://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/20260619ai.html
参考リンク: https://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/20260619ai/aiplan_2601_draft.pdf
政府利用のルールが改定
デジタル庁は2026年6月12日、政府における生成AI利用のガイドライン第2.0版を公表しました。今回の改定では、対象が文章だけでなく、音声や画像などにも広がっています。生成AIは、文章を作る道具から、資料画像、音声、動画、画面操作など、さまざまな形で使われるようになっています。その変化に合わせて、政府利用のルールも更新された形です。
重要な点の一つは、著作権などの知的財産を守るための注意点が大きく広がったことです。AIに入力する情報や、AIが出力した内容をそのまま使う場合には、他者の権利を侵害しないかを確認する必要があります。学校でも、教材、配布資料、校内文書、広報資料などでAIを使う場面が増えます。その際、便利だからといって無確認で使うのではなく、出所や利用条件を確認する習慣が必要になります。
もう一つ注目すべき点は、自分で手順を考えて外部のサービスに影響を与えるAIについて、より強い管理が必要だと示されたことです。これまでのAI利用は、文章を作る、要約する、案を出すといった使い方が中心でした。しかし今後は、AIが予約、送信、更新、検索、整理などの作業を実行する場面が増えます。AIが実際の操作を行うようになると、間違いの影響も大きくなります。行政の考え方は、学校や自治体のルールづくりにも参考になります。生成AIを安全に使うには、活用を進めることと、確認や責任の仕組みを整えることを同時に進める必要があります。
参考リンク: https://www.digital.go.jp/policies/genai
参考リンク: https://www.digital.go.jp/speech/minister-260612-01
大型AIコンテストが始動
経済産業省は2026年5月29日、懸賞金最大6.3億円と、学生向けの計算資源最大4億円相当を提供する「GENIAC-PRIZE 2026」を発表しました。両者を合わせた事業規模は約10億円です。目的は、AIを研究や実験だけで終わらせず、社会で実際に使える形にすることと、AIを扱える人材を育てることです。AIの社会実装を後押しする大規模な取り組みとして注目できます。
テーマの一つは、介護、物流、建設など、社会を支える仕事の改善です。こうした仕事は、人手不足や業務負担の大きさが課題になりやすい分野です。AIを活用して、記録、確認、計画、作業支援などを改善できれば、現場の負担を減らすことにつながります。賞金は最大6.3億円と大きく、単なるアイデア募集ではなく、実際に社会で使える成果を強く求める姿勢がうかがえます。
もう一つのテーマには、学生向けのAI開発も含まれています。現実世界の物や機械と関わるAIを扱う内容で、賞金も用意されています。これは、AIを「使う」だけでなく、「作る」「試す」「社会の課題に合わせる」学びが重要になっていることを示しています。教育にとっても大きな意味があります。今後のAI教育では、プロンプトの書き方だけでは不十分です。身近な課題を見つけ、AIでどう解決できるかを考え、実際に形にする経験が求められます。こうしたコンテストは、学校や大学での探究学習、情報教育、キャリア教育ともつながっていく可能性があります。
参考リンク: https://www.meti.go.jp/press/2026/05/20260529003/20260529003.html
参考リンク: https://www.meti.go.jp/press/2026/06/20260604003/20260604003.html
長時間調査を任せるAI
Sakana AIは2026年6月15日、自律型研究支援システム「Sakana Marlin」を発表しました。これは、利用者が市場調査、競合分析、新規事業の検討などを入力すると、AIが長時間にわたって調査や分析を進め、最終的にレポートやスライドを作る仕組みです。最大約8時間の継続的な調査を行い、最大100ページの戦略レポートとスライドを生成できるとされています。
これまでの生成AIは、質問を入力すると、その場で答えが返ってくる使い方が中心でした。もちろん、短い時間で要約や案出しができることは大きな利点です。しかし、現実の調査や企画では、一つの質問に答えるだけでは足りません。情報を集め、比べ、整理し、足りない点を調べ直し、最終的に読みやすい形にまとめる必要があります。Marlinのような仕組みは、こうした長い作業をAIに任せる方向を示しています。
教育や研究にも応用の可能性があります。たとえば、授業準備のための下調べ、探究学習のテーマ整理、研究計画のたたき台づくり、教材作成の背景調査などで活用できるかもしれません。ただし、長時間調査してくれるからといって、出力をそのまま信じてよいわけではありません。AIはもっともらしい形で不十分な情報をまとめることもあります。最終的には、人が目的に合っているか、根拠が適切か、教育的に使えるかを確認する必要があります。AIに作業を任せる範囲が広がるほど、人の確認力と判断力がより重要になります。
参考リンク: https://sakana.ai/marlin-release/
複数AIで答えを高める
Sakana AIのFuguは、1つの大きなAIだけに頼らず、複数のAIを組み合わせて答えの質を高めようとする点で注目されています。これまで多くの生成AIサービスは、できるだけ高性能な一つのAIを作り、そのAIに利用者が質問する形が中心でした。Fuguは少し考え方が異なります。目的に応じて、どのAIにどの作業を任せるかを考え、複数のAIの出力を使いながら最終的な答えを作る方向です。
この考え方の利点は、得意分野の違うAIを活かしやすいことです。あるAIは文章作成が得意で、別のAIは調査や計算が得意かもしれません。さらに別のAIはコード作成や画像理解に強いかもしれません。1つのAIにすべてを任せるのではなく、それぞれの強みを組み合わせれば、より良い結果に近づける可能性があります。また、あるAIが一時的に使えなくなった場合でも、別のAIで補いやすいという利点もあります。
一方で、課題もあります。高性能なAIを何度も呼び出すため、時間や費用がかかりやすくなります。また、複数のAIの出力をうまく整理する仕組みが必要です。教育現場でそのまま使うには、まだハードルがあるかもしれません。それでも、この動きは重要です。生成AIの進化は、単に「一番大きいAIを作る」方向だけではありません。すでにあるAIを上手に選び、組み合わせ、目的に合わせて使う方向にも広がっています。学校での活用でも、すべてを一つのサービスに頼るのではなく、目的に合わせて使い分ける発想が今後ますます大切になります。
参考リンク: https://sakana.ai/fugu-release/
参考リンク: https://sakana.ai/fugu/
国産AI基盤の選択肢
Preferred Networksは2026年6月22日、国産生成AI基盤モデル「PLaMo 3.0 Prime」の正式提供を開始しました。生成AI基盤モデルとは、文章を理解したり作成したりするAIの土台になる仕組みです。海外企業のAIサービスが広く使われる中で、日本国内で開発されたAI基盤の選択肢が増えることは、教育、行政、企業にとって大きな意味があります。
PLaMo 3.0 Primeでは、複雑な判断や複数の手順が必要な作業に向いたモデルと、応答の速さや軽さを重視するモデルが用意されています。また、非常に長い文章を扱える点も特徴として示されています。長い文書を扱えることは、教育現場でも役立つ可能性があります。たとえば、学校の方針文書、授業資料、長いレポート、複数の教材、会議記録などをまとめて扱う場面では、短い文章しか読めないAIよりも使いやすくなります。
国産AIに期待されるのは、日本語の自然さだけではありません。日本の教育制度、行政文書、企業文化、法制度に合った使い方がしやすいかどうかも重要です。また、どこでデータが扱われるのか、どのような安全対策があるのかも、学校や自治体にとって大切な判断材料になります。もちろん、国産だから自動的に安心というわけではありません。性能、安全性、費用、使いやすさを比べる必要があります。それでも、選択肢が増えることは望ましいことです。海外サービスだけに依存せず、目的に応じて適切なAIを選べる環境が整うことが期待されます。
参考リンク: https://www.preferred.jp/ja/news/pr20260622
教育特化AIの実証が進む
文部科学省は、初等中等教育向けの教育分野特化生成AIについて、開発、導入、運用を一体で検証する実証研究を公募しました。説明会は2026年6月1日、締切は2026年6月17日とされ、採択予定は約4件、1件あたり約3,000万〜5,000万円規模と紹介されています。学校教育で生成AIを使うために、汎用的なAIをそのまま入れるのではなく、教育の目的や現場の事情に合った形を検証しようとする取り組みです。
想定されている使い方には、外国につながる児童生徒や保護者への多言語支援があります。学校では、言語の違いによって連絡や学習支援が難しくなる場面があります。AIを活用すれば、説明文の作成や翻訳、個別の状況に合わせた支援がしやすくなる可能性があります。また、学習状況に応じた教材作成や、その場での助言も想定されています。子ども一人ひとりの理解度に合わせて、練習問題や説明を変えられれば、学びの支援がより細やかになります。
さらに、教育用データを使って現場に合った回答をする仕組みの検証も含まれています。学校で使うAIは、一般的な知識だけでなく、学習指導要領、学校の方針、教材、子どもの状況などを踏まえる必要があります。ただし、子どもに関する情報を扱うため、安全管理は欠かせません。教育特化AIの実証は、便利なAIを作るだけでなく、安心して使える運用を考える取り組みでもあります。今後、学校で生成AIを日常的に使うための重要な一歩になります。
参考リンク: https://www.mext.go.jp/zyoukatsu/ai/moral-ai/assets/pdf/202605.pdf
高校生向けAI教材が拡大
東京大学松尾・岩澤研究室は2026年6月2日、高校生向けAI教育カリキュラムの開発を発表しました。特徴は、生成AIへの指示の出し方だけを学ぶものではなく、AIがデータから学ぶ仕組みそのものを体系的に学べる内容であることです。生成AIを使いこなす時代には、表面的な使い方だけでなく、AIがどのように学び、なぜ間違えることがあるのかを理解することが大切です。
モデル授業は、山形県立酒田光陵高等学校、千代田区立九段中等教育学校、愛知県立旭丘高等学校の全国3校、552名を対象に実施され、満足度は80%以上と紹介されています。今後は、「情報I」「情報II」「総合的な探究の時間」などに導入しやすい、組み合わせ型の教材として展開される予定です。高校の授業に取り入れやすい形で教材化されることは、AI教育を広げるうえで重要です。
生成AIが普及すると、文章や画像を作ること自体は簡単になります。しかし、AIを使って何を考えるのか、どの出力を信じるのか、どのように改善するのかは、人間側の理解に左右されます。高校生がAIの基本的な仕組みを学ぶことは、将来AIを使う側になるだけでなく、作る側、評価する側、社会のルールを考える側になるための土台になります。これからの情報教育では、AIを便利なツールとして扱うだけでなく、社会を変える技術として理解することが求められます。高校段階からその学びが広がることは、教育全体にとって大きな意味があります。
参考リンク: https://weblab.t.u-tokyo.ac.jp/news/2026-06-01/
AIは作業を任せる段階へ
2026年5月末から6月にかけて、主要な生成AIサービスで「実行型」「作業代行型」と呼べる機能が相次いで発表されました。OpenAIでは、CodexがWindows上で画面を確認し、クリックや文字入力を行うComputer Useに対応しました。これとは別に、ChatGPTには予定した時刻や条件で処理を行うScheduled tasksが追加され、Enterprise/Eduでは、Slack上でチャンネルへの参加、リマインダー作成、ファイルのアップロードなどを行う機能も提供されています。
これは、生成AIの使い方が大きく変わる兆しです。これまでの中心は、人が質問し、AIが答える対話型の使い方でした。しかし今後は、人が仕事を依頼し、AIが必要な情報を見て、手順を考え、ツールを操作する使い方が増えていきます。たとえば、調査してまとめる、ファイルを整理する、文章を直す、予定に沿って処理する、外部サービスに書き込むといった作業をAIに任せる場面が広がります。
学校では、こうした機能をすぐに校務や授業で自由に使えるわけではないかもしれません。個人情報や成績、児童生徒に関する情報を扱う場合には、慎重なルールが必要です。それでも、1〜2年のうちに教育現場にも入ってくる可能性は十分あります。作業代行型のAIを使うと、仕事の進め方そのものが変わります。まずは本業に直結しない小さな作業や個人の学びで試し、どのようなことが得意で、どこに注意が必要かを体験する価値があります。生成AIは、答えをもらう道具から、作業を一緒に進める相手へ移りつつあります。
参考リンク: https://help.openai.com/en/articles/6825453-chatgpt-release-notes
参考リンク: https://help.openai.com/en/articles/10128477-chatgpt-enterprise-edu-release-notes
参考リンク: https://workspace.google.com/blog/product-announcements/june-2026-workspace-feature-drop
参考リンク: https://www.anthropic.com/news/introducing-claude-tag
参考リンク: https://blogs.microsoft.com/blog/2026/06/16/achieving-success-with-ai/
まとめ
今回の大きな流れは、生成AIが「答える道具」から「作業を進める相手」へ変わりつつあることです。高性能なAIは、調査、分析、文章作成、システム操作まで担えるようになってきています。その一方で、性能が高くなりすぎることで、公開停止や安全確認、利用管理の動きも強まっています。AIの進歩は、便利さだけでなく、社会としてどう安全に扱うかという課題も同時に生んでいます。
教育で大切なのは、最も高性能なAIを全員が使うことではありません。現在一般に利用できるAIでも、授業準備、教材作成、探究学習の下調べ、翻訳、文章の確認、校務の効率化など、できることはすでに多くあります。特に、自分で手順を進めるAIを使うと、仕事の進め方が大きく変わります。学校内での本格利用はまだ制限があるとしても、個人の学びや小さなプロジェクトで試すことで、何ができるのかを具体的に理解できます。
一方で、AIの仕組みを整えるだけでは十分ではありません。AIを使う人が目的を持ち、出力を確認し、必要に応じて修正し、責任を持って活用する力が必要です。国や企業はAIの基盤やルールを整えていますが、最終的に価値を生み出すのは現場で使う人です。教育現場では、AIを禁止するか使わせるかだけでなく、どの場面でどのように使うと学びや仕事がよくなるのかを考えることが重要です。これから差になるのは、AIそのものを持っているかどうかではなく、AIを目的に合わせて使いこなす力です。