オンライン
出典
出典は以下の Web サイトです。イベントの詳細については下記のサイトをご確認ください。 https://tomita-kato.peatix.com/
概要
元慶應幼稚舎長・加藤三明氏と、日本で初めてAO入試を導入した慶應SFCの元環境情報学部長・冨田勝氏による、注目の特別対談が実現。
「試験勉強に没頭する優等生は、未来社会で取り残されるだろう」と警鐘を鳴らし、これからの時代に求められる教育のあり方について具体的な提言を行います。 さらに、「子どもの教育を考える以前に、親のビジョンと覚悟が問われる」と指摘。AI時代を生き抜く力を育むために、親世代が今何をすべきか――すべての親に届けたい、重要な対談です。
基本情報
日時: 2025年4月9日(水)20:30~21:45
場所: オンライン
費用: 無料
登壇者
加藤三明(かとうみつあき)
元慶應義塾幼稚舎長
1955年生まれ。1978年慶應義塾大学経済学部卒業。1979年慶應義塾幼稚舎教諭。慶應義塾福澤研究センター所員。日本私立小学校連合会常任理事、東京私立初等学校協会副会長を歴任。
冨田勝(とみたまさる)
慶應義塾大学名誉教授
1957年生まれ。慶應義塾大学工学部卒業後、米カーネギーメロン大学に留学し、AIを専攻して博士号(Ph.D)を取得。1990年に慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス開設とともに帰国。環境情報学部助教授、教授、学部長を歴任。2001年に慶應義塾大学先端生命科学研究所(山形県鶴岡市)を開設し、22年間所長を務め、その間に9社の慶應鶴岡発ベンチャー企業を創業支援した。(一社)鶴岡サイエンスパーク代表理事。
キャスター:出野泉花(でのせんか)
5歳の時に劇団ひまわりに入所。18歳で芸能界を引退するまで声優・役者として活躍した。高校生バイオサミット2016にて厚生労働大臣賞を受賞。慶應義塾大学環境情報学部にAO入試で入学、同大学院システムバイオロジー修士課程修了(2023)。現在はIT企業勤務。
登壇者からのメッセージ
子供たちは何のために勉強しているのか?
(文・冨田 勝)
この本質的な問いに、多くの日本人は「テストで良い点を取るため」と答えるのではないでしょうか。学校ではテストの点数が通知表に反映され、その評価によって生徒に序列がつけられます。成績上位の生徒は称賛される一方、下位の生徒は肩身の狭い思いをする。親もまた、子どもに高得点を取らせるため、塾や家庭教師をつけ、勉強に多大な労力を費やさせます。このようにして、期末試験や入試での得点競争のために、多くの子どもたちは好きなことを我慢し、時に疲弊しながら勉強を続けています。
点数を追いかける画一的な教育
大勢の高校生が受験する「大学共通入学テスト」は、すべての問題に唯一の正解が設定されているマークシート方式です。試験では教科書の内容が唯一の正解とみなされるため、自分なりの意見を考えたり、解き方を工夫する必要もなく、教科書の内容を鵜呑みにします。試験範囲外の学習や自由研究、スポーツ、芸術に熱中することは「ほどほどにしておけ」と言われ、「得意科目を伸ばすよりも苦手科目を克服しろ」と指導されることが一般的です。
こうして必死に勉強し、偏差値を上げ、難関大学に入学し、大手企業に就職する―― これが20世紀型の「エリート像」でした。この画一的管理教育は、戦後の昭和において「欧米先進国に追いつけ、追い越せ」と目覚ましい経済発展を遂げ、一定の成功を収めたといえるでしょう。
20世紀型教育の限界
しかし、平成に入り、日本の状況は一変しました。経済大国となり、今度は世界から追われる立場になりました。発展途上国だったアジア諸国が日本を手本にして成長し、今や日本は追い越されつつあります。一方、日本経済は人口減少とバブル崩壊によって長期に低迷。にもかかわらず、依然として同じ画一的な教育を続けてきました。バブル期を知らない若者は、将来の展望を見いだせず、挑戦よりも安定を重視。こうした傾向は最近の意識調査にも顕著に表れています。
やりがいを見いだせない若者の閉塞感
第一生命保険の調査によると、2024年の子どもたちの「将来なりたい職業」第1位は「会社員」でした。一方、米ギャラップ社の国際調査では、日本の会社員のうち「仕事にやりがいを感じる」と答えた人はわずか5%、これは145か国中最下位の145位です。また、20代の若手会社員のうち「自社の管理職になりたい」と考えているのは3割未満にとどまり、「自国の将来は良くなる」「自分の行動で国や社会を変えられる」と考えている若者の割合も世界最低レベルにあります。
AI時代の到来は、教育変革のチャンス
ChatGPTをはじめとする生成AIの急速な発展は、日本社会にとって大きな転機となります。「与えられた問題の正解を素早く見つける」「指示された課題をミスなくこなす」といった、これまで“エリート”の強みとされてきたスキルが、AIによって急速に代替されつつあるからです。その結果、「筆記試験で得点を競うために必死に勉強する」ことが、本当に人間がやるべきことなのか、多くの人が疑問を抱き始めるでしょう。
点数より人間的魅力を評価
AI時代に求められるのは、「人間的魅力」を備えた人材です。少々の欠点があっても良いから、その人ならではの個性とこだわりを持ち、他人を感動させたり、共感力や社交力を発揮できる人こそが、未来社会で活躍するでしょう。
こうした変化を受け、大学入試も筆記試験中心の選抜から、人間的魅力を重視する方向へとシフトしています。AO入試をはじめとする「総合型選抜」「学校推薦型選抜」で進学する生徒の割合は年々増加し、令和6年度にはすでに50%を超えています。筆記試験による「一般選抜」は、もはや少数派となりつつあります。
問われる親世代のビジョンと勇気
そして今、子どもたちにはどのような教育が必要なのか。それを決めるのは、親世代のビジョンと勇気です。AIが台頭する今こそ、子どもの教育のあり方を根本から見直す絶好の機会なのです。