本記事は、2025年8月29日に行われたオンラインイベント「生成AIに関する最新情報の提供」にて紹介された最新情報をもとに、生成AIを活用して記事を作成しています。
オンラインイベントの詳細: https://edulab.t.u-tokyo.ac.jp/2025-08-29-event-report/
東京都「都立AI」の提供開始 (2025年5月12日)
2025年5月12日より、東京都教育委員会は都立学校(256校、児童・生徒数約14万人)において、独自の生成AIシステム「都立AI」の提供を開始しました。
これは、AI時代に必要な資質・能力の育成を目的としたもので、これまで研究校で進められてきた成果を踏まえて全校展開されたものです。
「都立AI」は、不適切なやり取りのフィルタリング機能などを備えた安心・安全な環境が特徴で、学習や校務での活用が想定されています。
参考リンク:https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2025/05/2025051201
文部科学省「学校現場における生成AIの利用について」ページ公開 (2025年6月30日)
2025年6月30日、文部科学省はWebページ「学校現場における生成AIの利用について」を公開しました。
このページには、生成AIの利用に関するガイドラインや事務連絡、パイロット校の成果報告、研修動画などが網羅的にまとめられています。初等中等教育段階における国の動きや最新資料を確認する際は、まずこのページを参照するのが良さそうです。
参考リンク:https://www.mext.go.jp/zyoukatsu/ai/
アメリカにおけるAI人材育成と教育支援
アメリカでは政権の動きに伴い、AIに関する方針にも変化が見られます。
2025年4月には、AI人材育成に関する大統領令が発出され、AI人材育成を国家方針として宣言しました。これを受け、労働省などがAIスキル教育の普及促進に向けた声明を発表しています。
また、2025年7月には教育省から書簡(Dear Colleague Letter)が発行され、既存の助成金をAI教育(教材開発や教員研修など)にも活用可能であることが示されました。連邦政府として、教育分野でのAI活用を財政面からも支援する動きが強まっています。
EU「欧州AI規制法」と教育への影響
EUでは、包括的なAI規制である「欧州AI規制法」が2024年5月に承認され、段階的に施行されています。
2025年2月には同法のArticle 4が発効し、市民・教員・学生向けのAIリテラシー教育(理解促進施策)が法的に義務化されました。
また、2025年8月からは、汎用AIモデル(General Purpose AI)に対する透明性確保や著作権保護、責任あるAI開発の義務が適用開始されています(既存モデルは2027年8月までの対応が必要)。開発企業にとっては厳しい要件となりますが、透明性や安全性を重視する方向性が明確に示されています。
イギリス 教育省 学校向けガイダンスの更新 (2025年8月12日)
2025年8月12日、イギリス教育省は学校向けの生成AI活用ガイダンスを更新しました。
更新されたガイダンスでは、生成AIの機会と課題、安全かつ効果的な利用方法、責任ある利用、そして教育における未来について、より具体的で詳細な内容が記述されています。当初から動きの早かったイギリスですが、今回の更新により、教育現場での活用指針がさらに具体化されました。
OpenAI ChatGPT「学習モード」の提供開始 (2025年7月29日)
2025年7月29日、OpenAIはChatGPTに「学習モード(Study Mode)」を追加しました。
ユーザーの質問に対してすぐに正解を教えるのではなく、ヒントを出したり段階的に考えさせたりすることで、ユーザーの理解を深めることをサポートしてくれます。安易に答えを求めるのではなく、対話を通じて思考プロセスを学ぶための教育的なモードになっています。
参考リンク:https://openai.com/ja-JP/index/chatgpt-study-mode/
OpenAI GPT-5 の公開 (2025年8月7日)
2025年8月7日、OpenAIから「GPT-5」が公開されました。
非常に高い性能を持ち、博士レベルの能力があるとも言われています。また、思考機能(推論能力)を標準で搭載しており、ユーザーの問いかけに応じて、即座に回答するモードと、じっくり思考してから回答するモードをハイブリッドに使い分けるなど、実用性と高度な処理能力を兼ね備えたモデルとなっています。
参考リンク:https://openai.com/ja-JP/gpt-5/
Gemini 年齢制限撤廃 (2025年8月15日)
2025年8月15日の「Gemini Day for Education」にて、Google Workspace for EducationにおけるGeminiアプリやNotebookLMの利用に関する発表がありました。
これにより、Geminiアプリ(学習に特化したLearnLMを採用)等の年齢制限が撤廃され、教育機関の管理下であれば児童生徒も利用可能になりました。
特に「NotebookLM」は、アップロードした資料(PDFやWebサイトなど)に基づいて回答してくれるAIツールで、ハルシネーション(嘘の回答)が比較的少ないため、教育現場でも活用が進んでいます。音声による解説生成(Audio Overview)機能なども搭載され、注目を集めています。
参考リンク:https://rsvp.withgoogle.com/events/geminiday_education
研究:AI利用が批判的思考に与える影響
Gerlich氏らによる2025年の研究では、AIへの依存が「批判的思考力(クリティカルシンキング)」に与える影響が検証されました。
その結果、AIツールを頻繁に利用する人ほど、情報を分析・評価する能力が低い傾向にあるという「負の相関」が見られました。この背景には、思考をAIに外部委託してしまう「認知的オフロード(思考の丸投げ)」があると考えられています。
一方で、高学歴層ではAIを利用しつつも高い思考力を維持している傾向もあり、AIの利便性を享受しつつ、自律的な思考力を養う「賢い付き合い方」やAIリテラシー教育の重要性が提言されています。
研究:ChatGPTが学習に与える影響
Wang氏とFan氏による2025年のメタ分析研究では、ChatGPTが学生の学習に与える影響が検証されました。
結論として、学習パフォーマンス(テストの点数など)には大きなプラス効果(効果量 0.867)があることが確認されました。特に「問題解決型学習」で4〜8週間程度活用した場合や、ChatGPTを「指導役(チューター)」として活用した場合に、思考力育成などに高い効果が見られました。
このことから、単に導入するだけでなく、学習の目的や方法に合わせた「戦略的な活用」や教員による授業設計が重要であることが示唆されています。
研究:エッセイ評価におけるAIモデルの比較検証
私(吉田)の研究室で行った最新の研究についても紹介します。
最近話題の「推論モデル(思考時間をかけて回答するモデル)」と、従来のモデルの「エッセイ自動採点能力」を比較検証しました。
一般的には推論モデルの方が高性能と思われがちですが、このタスクにおいては、従来のモデル(GPT-4o miniなど)の方が、推論モデル(O3-miniなど)よりも専門家の評価との一致度が高く、評価の一貫性(何度やっても同じ点数になるか)も高いという結果が出ました。
推論モデルは「考える」プロセスが入る分、その都度思考経路が変わってしまい、結果として出力(点数)がブレてしまう傾向があるようです。
吉田によるまとめ
国内では東京都の「都立AI」導入や文部科学省の情報集約が進み、国外でもアメリカのAI人材育成方針やEUのAI規制法など、国レベルでのルール作りや環境整備が進んでいます 。また、サービス面でも、GPT-5のような高性能モデルの登場や、ChatGPTの「学習モード」、Geminiの年齢制限撤廃など、教育現場でより使いやすく、かつ教育的な配慮がなされた機能がリリースされています 。
しかし、後半の研究紹介でも触れたように、必ずしも最新のモデルがすべてのタスクにおいて最適とは限りません 。便利な機能が増える一方で、AIに思考を丸投げする「認知的オフロード」を避け、自分の目的に合わせてツールを適切に選び、使い分けることが重要です 。
